ヘビに起きたこと


榧木をよじ登り奴がやってきた。

黒いヘビだ。鳩の卵を狙っている。

線香を焚くと奴はそろりそろりと樹を降りてゆき、いなくなっていた。

あくる朝、雛がかえった。

奴は忘れてはいなかった。

やはり、執念深いのだな。

榧木を登り奴はやってきたようだった。

私が気付いた時には雛は巣におらず、喉元を膨らませた奴がぬらぬらそろりと降りてゆくところだった。

テントウムシが飛んできて奴の目玉に張り付いて止まった。

奴は一瞬止まって樹から落ちた。

不思議な榧木の生えた庭で黒いヘビはそのまま秋になっても動かず、やがて土になった。