息子にはありのままを話した。
いつものように葛飾から越谷での同じ小川で叔父とタナゴ釣りをしていると、男が二人やって来た。トラックからノズルが伸びてきて川に差し込んだ。そして「オラオラ、もうこれからこの川じゃ魚は獲れなくなるからな!」叔父が「何でだよ、何するんだよ!?」というが早いかドボドボ、ドバドバと川の水も魚も吸い取りコールタールのような黒い泥だけの川底にしてしまったのである。今思うとあれはバキュームカーなのであった。タナゴ釣りはその後出来なくなり、越谷の小川は消えた。
「すごい話でしょ?」と言うと息子は「タナゴはどこへ行ったの?」「悪い奴らにトラックに吸い取られて食べられたか、売られたんだろうね」「川は?」「水が消えて次行ったときには葦とかがボウボウに生えていてタナゴ釣りはやめたんだヨ」「それで?」「おしまい」
「昔は凄かったんだよ。こわい人がたくさんいた」。「どんな?」「お風呂屋さんに行くと背中に龍とか鬼が描いてあるんだよ」「おなかには?」「それはいないな」「何で?」「カッコ悪いんじゃないかな?わからない」「ティラノサウルス彫ればいいのに」「え?ティラノ?・・・失敗したらカッコ悪いよ」「オニヤンマとかミヤマクワガタ彫ればいいのに」「刺青は痛いんだよ」「ヤバいね!?」「だね」
8/31夏休みも終わりかと思ったが・・・9/1が日曜日なのね。
「ボクはねぇ、小さいナマズが獲りたいんだよ」「来年の五月にがんばろうね。三年生だからもう少し背が伸びて、力がついて、頭がよくなっているよ、きっと」
「はぁ?今日の話しているんですけれど」「面倒だな」「ロボットも作り直していないじゃん!!ハンダ小手使うんでしょ!?」
「雨の日のお楽しみだから、それ。秋の長雨が来るよ、パチンコも7/18に作ったでしょ!?」「パチンコは疲れた 指も痛かった」「畳に釘刺したろ?」「あはは。そうだよ」「トンカチは面白いだろ?」「先生に一回100円でやらせてあげようかな」「学校に持って行ってみんなに100円でやらせてあげれば?」「いいねぇ」「仕事とはそういうものだよ」ママが睨んでいます。
「犬の散歩しながらナマズ獲ろうぜー」夏休み最後に念願のナマズを狙いに行きました。
実は前釣り人にーちゃんから貰ったナマズ、死んでしまったのです。今回は例のノラウータンではありません。朝起きて蓋を開けると腹を上にして口を大きく開いていました。息子はその大きなナマズを抱きかかえるとお墓をつくりました。隣には去年の晩冬に亡くなったハラビロカマキリのソクエ(名前)墓があります。ソクエは息子が初めて採ったカマキリでした。息子が採った生き物たちにはみんな名前があります。ミヤマクワガタを獲りに行って連れ帰った巨大カタツムリはガタノソア のソフビ人形と同じくらい大きなカタツムリでガタノゾーアといいましたが、採取3日の朝、消えていました。カニのシャイニーは城ヶ崎海岸で割り箸と糸と裂きイカで誘い出し、漸く捕まえた野球のグローブよりやや小さな磯ガニでしたがホテルで脱走したのです。虫かごから蝶が全て逃げ出したときは運転中でした。
息子が好きなのは、ミヤマカラスアゲハ、ミヤマクワガタ、タマムシ、カブトムシ、ギンヤンマ、オニヤンマ、ナマズ、カマキリ、蜥蜴、イモリでここ3年はあまり変わっていません。これらが結構近所や少し先にいるのです。
近所の川が護岸工事された時、魚や水辺の植物が消えました。知らないおじさんが網で魚を獲っていらないオタマジャクシを畦道に捨てると腐って発酵してとんでもない臭気を発します。散歩の犬が大喜びしてその香水の上で首根っこに入念になすり、こびりつかせます。家は大騒ぎです。夜まで犬洗いが続きます。犬洗い1匹100円、いまではホームセンターで5000円くらい取られますから昔取った杵柄は家計に優しいはずですがママは喜んでくれません。
つづく